2002年07月21日 |
夕方7時までは、おだやかな時間が流れていた。
今日決めていた、やらなければならないことも、めずらしく予定通りに進んでいた。
一人で過ごす日曜日。
おやつ雑誌を眺めていたら、バルサンの広告があった。
最近、ゴキブリが出るのだ。先週になって2匹、昨夜も2匹出た。出どころは洗面所、夜中にどれも大きな黒ゴキブリだった。
ゴキブリは・・ダメなのだ。さわれない、叩けない、踏めない。だが、見つける能力はあるらしく、誰よりも早く見つけてはオロオロしている。4匹は、幸い誰かが仕留めてくれた。
実家は、ゴキブリのいない家だった。本当はいっぱいいたのだが、私が小学4年生位の時に、住宅一帯で白アリ駆除をして以来、1匹も出なくなったのだった。だから一人暮らしをしていた時、私の部屋選びの条件は日当たりとゴキブリがいないことだった。不動産屋のニイチャンには苦笑されたが、2度の引っ越しは、どちらも新築物件に決めた。
ここも、ゴキブリはいないと聞いていた。去年を知っている同居人によると、これはどこかの家でバルサンを焚いたのだろう、ということだった。どこのどなた様か知らんが、結構な夏の風物詩を戴いた。
バルサンの広告を見ながら「今日も出るのかなぁ・・。」と憂鬱になってきた。
一体どこから来るんだろう・・。雑誌を置いて、洗面所の30センチ程開いたドアから、中をチラッと覗いてみた。
軽い下見のつもりだった。
が、またもや見つけてしまったのだ。大きな黒ゴキブリ。
誰もいない館。本物か何度も確認した。
しばらくじっと見つめていた。ゴキも私も止まっていた。謎の数分間、ただ・・見ていた。多分血圧は上がっていただろう、顔がボォ〜っとしていた。が、やはりこのまま見逃すわけにはいかない。今日は・・、私がやるしかないのだ。
決断した。心はどんよりしていたが、実行するしか道はない。まず、殺虫剤を取りに行った。
そして・・、ちょっと離れたところから、思い切り噴射した。手にも体にも力が入っていた。
「シュ〜ッ」
ゴキブリはキンチョールをちょびっと受けて、のそのそと奥へ引っこんでいった。一応追加で10秒程シュ〜しておいた。あとは出てくるのを待って、仕上げのシュ〜をしよう。あともうちょっと。そうしたらご飯を食べよう。だから頑張ろう。イタチはリビングで熟睡中、今日は私が努めを果たす日。気分は番犬だった。臆病だが、頑張って吠えている犬であった。
今日は早く帰ると言っていた同居人。見張りをしながら電話をしたが、やはり留守電になっていた。
おそいな・・奥で死んだのかな。
そう思った時・・・、
別のデカゴキブリが出てきた。
これは・・・、予想していなかった。
「シュ〜〜〜ッ。」
そいつも苦しむわけでなく、のそのそと奥へ入っていってしまった。
ところが・・。
そのシュ〜がとんでもない引金となった。
わずか半畳程の洗面所、30センチ程開いたドアから見える狭い空間に、その後堰を切った様に、わんさかゴキブリが出てきたのだった。
奥から出てくるデカいの、床を横切る蝉みたいなやつ、そして洗面台の上には中くらいのが・・。
みんな歩いている。サカサカと現れ去っていく。
一体どうなっちゃったのだ。
ハッキリ言って、こんな光景は見たことがなかった。とにかくシュ〜するしかなかった。左手には携帯。つながらない同居人たちに電話をかけ続け、右手はシュ〜を押し続けた。手は震えていた。本当に怖い時には「キャ〜ッ」という叫び声は出ない。声なんて出なくなる。煙は充満し、私はむせているのに、ゴキブリたちは悠々と出てきてまた引っこんでいく。ちっとも命中していないのだった。
とうとう、チビっこゴキブリたちまでが壁を上り出し、この状況を受けとめる精神力はもうなくなっていた。クラクラした。判断力も失い、ただ無言でシュ〜し続けていた。
ゴキブリたちの登場の仕方は、多種多様。
まるで、コンサートの終盤にセットや照明がめくるめくかわっていく様に、計算されたかの様な構成力だった。
結局、私はチビゴキブリを1匹踏みつぶしただけだった。あとのは全部逃した。どうしていいかわからず、もう泣きたかった。それにかなり動揺していた。やっと電話がつながったもう一人の同居人には、今、京都にいるというのに「何分で帰れるのか」と訊いていた。
助けは来ない。イタチはハンモックで熟睡中。
せめて見逃してはいけない。私が・・・やらねば・・。
でも、やるって・・何をするのだ。
歩行器にもたれ、凝視した。
体調も悪くなる。
車いすに乗りかえて、再び監視した。
見張っても見張っても、ゴキブリは出てこなかった。
次の策も浮かばず、ただ見張っていた。私にはちょっと刺激が強すぎる光景だった。
結局それからどれぐらいか経って、留守電でSOSを聞いた一人が、ゴキブリ用の強力なアイテムをいくつも買って館に来てくれたのだった。
この日、収穫は12匹。
ゴキブリバスターの条件は、冷静であることだ。
気合いも頑張りも全く必要はないと、痛感した。
後に帰ってきた同居人含め、この一部始終を笑ったが、本当に私にとっては、こんな恐ろしい思いをしたのは久しぶり、おかげで強烈な一日となった。
ご近所さんから戴いた、夏の贈り物。
とても心を動かされた。
これはちゃんとお礼をせねば。
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2002年07月22日 |
だ〜るまさんがこ〜ろんだ。
昨日のゴキブリの一件で、すっかり私の動きは変になってしまった。もう見たくない、見つけたくない。注意しているから見つけてしまうのか、ここに来てから発見されたゴキブリは、全て私が第一発見者なのだ。
まず黒い色のものへの反応が、非常に敏感になった。床のこげ跡がチビゴキに見え、何度ものけぞっている。扉を開ける時も息をのむ。開けます、いいですか、行きますよ・・と時間をもたせてから、そぉ〜っと開ける。トイレだって、まるでお化け屋敷に入った様な感じだ。どこかに敵がいるんではないか、ポトッと落ちてくるのではないか。くるりと見回し用心している。
用事をするのに、少し動いては止まって様子を伺うようになってしまった。今、私の動きは、まるで子供の頃遊んだ”だるまさんがころんだ”をしているみたいだ。
周りは笑うが、いつか友人たちから聞いた、”寝ている時に顔に這われた”、”飛んできたゴキブリが服の中に入った”話を思い出してしまう。なんせ懸賞にも病気にも・・当たりやすい私である。その”まさか”の引きの強さが、悲しいかな私にはある。
昨日わんさか出た洗面所。
同居人には「もう出ないと思うよ。」と言われたが、用心深く、念の為の”シュー”をしてもらった。
しばらく待った。
だが1匹も出なかった。
「もう絶対大丈夫。」同居人は言う。
それでももう一度、仕上げの”シュー”をしてもらった。
今日はなんにも起こらない。
「もう、本当に絶対に大丈夫だって。」
さんざん笑われ、やっと私の力もス〜ッと抜けた。
よかった・・。
ほんとに・・よかった・・。
と、流しに立った。
出た!!
またしても大きな黒ゴキブリ。眼下30センチ。
何故・・、見つけてしまうのだろう。
だ〜るまさんがこ〜ろんだ!
今、私は体調が悪いのである。
もう、体力を使わない遊びにしようよ。
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2002年08月06日 |
ゴキブリの出現で、この館はすっかり私にとって、恐怖の館となってしまった。
まず、電気を消して寝ることが出来ない。
音楽も絶やせない。
「人がいますよ。ここに来たらあなたたち、殺られちゃうんですよ。」というアピールをしている。
昨夜、泊まりに来た友人には、職場で同僚の首筋にゴキブリが這っていた、という話まで聞かされてしまった。見るだけでワナワナ震えるのに、もし這われたりなどしたら、私はどうなってしまうのだろう。まず、そこの皮膚をスコップですくいたくはなる。
一人の時間が怖い。カサッと音がすると、怖くてたまらない。
これまた全く使いものにならないイタチたちでも、近くにいて欲しい。シャカシャカと別の部屋に行こうとすると、「待って!待って!」と追い掛けている。
本当に我ながら情けない。
なんで、ゴキブリなんて、こんなものが怖いのか。
ただ今の時刻は午後11時25分。
連泊する友人含め、まだ誰も帰って来ない。
いよいよ出そうな時間。
誰か・・早く帰ってきてはくれないか。
私はずっと、トイレにも行けずに我慢しているのだ。
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2002年10月12日 |
そんなに、この館が気に入ったのか。
君等、いったい何人いるのだ。
昨日、送り出した長老が返ってこないので、
アンタが次の使者としてやって来たのか。
昨日もそこに居なさった。
流しのタワシの奥の陰。
もじもじもじもじと。
おたくら、よくそこにいらっしゃいますけれど。
でも、うちは駄目。
それどころじゃないんだから。
デカゴキブリ詣で。
もう夜の流しに立つのは気が重い。
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2002年10月15日 |
今まで・・・。
1対1で向きあってきた。
たまに、理由も訊ねてみた。
そっちにはそっちの事情もあるのだろう。
いつも突然訪ねてきて。
何の用か知らんが、
それでもこっちも譲歩した。
冷静に対応する様、努めてみた。
だが、
君等・・反則だ。
今朝、君んトコの新しい使者は何をした。
私が寝ている布団の中におった。
起こされただけではない。
両足をさんざん這った挙げ句、
「ひゃっほぉーーーーっ!!」
すぐ目の前を、かけあがって行きよった。
こんなにビックリさせられて。
それでも今の私は逃げられない。
ただでさえ、
痛みと動きの調子は、朝が一番悪いのだ。
ダメ押しにかけあがった壁から、
滑ってハタハタと、もう一度頭上に舞い下りた。
新しい作戦だったのか。
「今度は、もうちょっとフレンドリーな感じで!」
誰のアイデアなのかは知らん。
確かに画期的。
だが失敗だよ、大失敗。
私は君等の使いと戯れた1分間で
腰を6回、グキッグキッいわせた。
痛くて痛くて、涙が出た。
一体何のために。
返事を聞かせよう。
バルサン。
こんな・・日々深まる秋になって。
情はみじんもなくなった。
君等一族全員と一切縁を切る。
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2002年10月16日 |
出入りしていたゴキブリ一族と決別する為、一気にバルサンで出ていってもらおうと決めた。だが、あれは数時間の間、こっちが外に出て避難しなければならない。今の私には、まずそれが出来ないのだ。
とりあえず、ゴキブリ対策グッズを差し入れてもらう。中に”ゴキブリプルン”という品があった。
早い話が毒入りグミ。しかし、これはイタチがいるので部屋には置けない。それにゴキブリ達は、今までを振り返ると家の中ではなく、家のすぐ近くにアジトがあるようなのであった。
本当は、そのグミを家の周りに撒きたい。
しかし、そこで私はまたあれこれ考える。
敷地内、ゴキブリの住んでいそうな所に私はグミを置く。
だが、それを散歩猫が食べてしまう。猫は死ぬ。
それは、一匹では済まなかった。そこにもここにも。
ノラもいれば、赤い首輪のミィちゃんも死体であがる。中でもミィちゃんは、このそばに長く住む独り暮らしのおばぁちゃんの、大切な家族なのであった。
「まぁ!どうしてこんなことに!」
ミィちゃんの飼い主を良く知るご近所さんの通報により、私は猫殺しの犯人として、厳しい取り調べを受けることになる。おそらく刑事さんは、私の真実の叫びに耳を傾けてはくれないだろう。
その後、証拠不十分でなんとか家には帰れたものの、噂はどんどん大きくなっていく。
ちびっこ達はまた、こういう噂話が大好きなのだ。
学校帰りに数人で、”猫殺しの、あの恐怖の館”を見に行こうということになる。
私はその頃、やっと日常を取り戻し、午後のお茶を楽しんでいた。だが外に人の気配がするな・・と思い、何気なくカーテンを開けると、すぐそこにはちびっこ達。思わず目が合っていた。
「うわぁ〜〜〜!!出たぁ〜!!」
子供達は”実物”を真近に見、ビックリして叫び、逃げていく。その中にまた一人、話をさらにややこしくする余計なことをしてくれる子供がいたりするのだ。
そのコはドン臭いのが元で、逃げる途中に転んで膝から血を流し、大袈裟に泣くのだった。
彼は家に帰り、過保護ママに報告をする。
「だって、怖いおばチャンが、追い掛けてきたんだ」
そして、ママもまた過剰に反応をする。
「なんてひどいことをする大人なの!」
大人達の間で私は、危ない人物と噂が広まり、小学校では”あそこで人を埋めているのを見た”、”ゴキブリを喰っていた”などといった「友達の友達から聞いたホントの話」の主人公に仕立てられていくのだった。
「お早うございます。」
ゴミ出しに来ていた、近所の奥さん連中が会話を止める。
昨夜は、窓ガラスに何者かが石を投げていった。
玄関口には、でっかい大便。
誰かがいやがらせに置いていったのだ。
大家さんがやってきて
「他の住人さんが、気味悪がっちゃって。」
と、やんわりと部屋の退去を勧める。
・・・・・・・。
体が動かないと、人間、バランスが悪くなる。
私の頭は動きすぎである。
思いっきりつまらんことに、動きすぎである。
グミは注意書きをよく読むと、ちゃんとケースに入っていて、動物が食べたりしない工夫がされていた。
腰を痛めて今日で9日が経った。
本当に早く動ける様になりたい。
壊れかけている私とは対照的に、今回のことのきっかけとなったイタチくん達は、脱走したことなどもう記憶のどこにもなく、今日もベッドの近くで仲良くキャッキャッと追い掛けっこをしていた。
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2002年10月17日 |
ゴキブリに這われたショックから、まだ立ち直れない。だってそれまで私は、ゴキブリとの生活とは無縁だったのだ。
この夏にゴキブリに遭遇してから、私も成長した。
見ただけで気絶しそうになるところから、2〜3ヶ月で叫び声も上げずに冷静に退治出来るまでになったのだ。はっきり言って、とても頑張った。
次から次へと試練を出しすぎなのである。何かの資格試験かの様に、課題が難易度を増していったが、別に免許など私は欲しくない。何の因果か、這われて、目の前を過ぎられて、頭上に降ってこられて、私はついに壊れた。
人間、強くなって、強くなって、強くなったあかつきには、無敵のヒトになれるのかと思っていたが、答えは違った。最後は屁たれのヒトになるのである。
今は、カサッと音がするだけで怖い。
ベッドの上にいても、落ち着かない。
先日、ゴキブリに這われた日、私は生まれて初めて鍼をうってもらった。出張で来てもらったその先生が言うには、病気というのは、ある強いストレスがかかった時に、体の一番弱い部分が病むのだそうだ。
今、私はとても強いストレスを感じている。
このままでは病気になってしまう。
夜が怖い。ゴキブリが怖い。
もう、何もかもが怖くてたまらない。
銃もナイフも持たずして、ただ這い、走り、ダイブを見せるだけ。たったそれだけで、自分よりもはるかに大きな生物を、恐怖に陷し入れる恐ろしい生き物。
先日、病院であんなに無敵の力を振るった私。
どうしたのだ。何処にいったのだ。
もう死んだ。
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2002年10月18日 |
まだゴキブリのことを引きずっている。
いや、・・・いた。
一日の終わりにして、ようやくこのブルーな気持ちから、解放される方法に辿り着いたのだ。
プロ。
ゴキブリ駆除のプロがあるのだ。私は知らなかったが、人もペットも部屋にいながらにして、後片付けも不要の、ゴキブリ駆除があると教えてもらった。
見つもりは無料。
早速、状況を見てもらうことにした。
午後10時。
その日の現場を終えて、業者の人はやって来た。
男性はゴキブリ博士といった感じで、来てすぐに、ふ化したあとの卵を見つけた。そして、初めてやって来たこの場所をちょこっと見ただけで、あっさりと現在のゴキブリ状況を診断したのだった。
茶ばねはいない。黒ゴキのみ。侵入口はここ。二階にも上がってもらったが、一番汚いとされている同居人の部屋は、出ないと断言。対処法や、こちらの質問にも即答で返ってくる。なんせ迷いがない。こっちを見て話しているようで、実は己に向かって確認している。”一つのことを深く追求するタイプの人”独特のオーラが漂っているのだった。
私は多分、胡散臭いヒトを見分ける嗅覚はある。
あの、ふ化後の卵は、見せ場を作るためにポケットから出したものではない。短いやりとりの中で、お金もうけよりも、ゴキブリの為に家庭をも犠牲にしているであろう姿を、その博士に見た。私はもうすっかり、彼を信頼していたのだった。
キッチンのいくつかの扉を開け、「ここは大丈夫、ここは・・いる。」と種明かしをする。中でも驚いたのは、ゴキブリのニオイを嗅ぎわける技を見せられた時だ。1箇所、彼が「ん?!」と言って、顔を突っ込む場所があった。そしてどんどん顔を奥へと突っ込んでいく。博士はしばらくの間、”ゴキブリ”のニオイを確認していたのだった。ゴキブリにはニオイがあって、よく彼等が出入りする場所にはニオイが残るというのだ。
寿命は1年半。環境のいい場所で美味しいものを食べているゴキほど早く死ぬ。楽しそうにゴキブリの生態を語りながら、ひととおり家の中を検証した後、この館の処置法、金額を出し、このケースは簡単、24時間以内にカタをつけられるでしょう、と彼は爽やかに言った。
嵐の様に彼は去っていった。
残された私達3名は圧倒されていた。
「ある意味、ゴキブリがすごく好きな人」
「ウチで飼って生態を観察していると思う」
彼の来館で、すっかり私達は安心を手に入れていた。
まだ、一匹も退治していないのに、だ。
なんと心強い博士なのだろう。
意見は一致した。
だが、家族にはなりたくない。
これも意見が一致した。
見積もりで出た額は4万円也。
決して安くはないが、お願いをした。
日曜日、正午。
今、私は少しワクワクしている。
ゴキブリ博士、お手並み拝見。
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2002年10月20日 |
正午少し前、待ちに待ったゴキブリバスターズが到着した。メンバーは、先日のゴキブリ博士と、その部下の二人。
早速、薬剤2種を隙間から注入し、その後侵入路を塞ぐという作業が始まった。住人もイタチも、いつもどおりくつろいでいればいいのだという。家具を動かすことも、キッチン廻りを片付けることもしなかった。
キッチンの辺りと、クーラーの取り付け部分を主に作業をしてもらい、全行程は約1時間半で終了した。
かつてはこの家には茶ばねもいた。
その形跡はあるが、何らかの理由で絶滅している。
普段、私がよく出くわした、流しに無言でたたずんでいたゴキブリ達は、水を飲みにきていた。
彼は、昔話を聞かせるおばぁちゃんの様に、この館のゴキブリの歴史を語ってくれた。
「これで、もう大丈夫です。もし、出たら連絡を下さい。あと、今日から1年間のうちに、出ることがあればいつでもご連絡を。」
保証書を渡された。
あとは、年の為に、来年の4月にコンバットをいくつか置いて、11月に撤去するだけでいいのだそうだ。
すがすがしい位の仕事ぶりであった。
売ったら、後のことはうやむやにしてしまう商売も多くある中で、ゴキブリがいなくなること以上に、私はこの博士のオシゴトに感動していた。
自分の周りで、ゴキブリに悩んでいる人がいたら、私は今日の業者のことを、熱く語るだろう。口コミの核にあるものは、純粋な感動なのだ。
普段は、数百円でも「これは違う!」と思った時、レシートを持って取り返しにいく私である。だが今日支払った4万円は、いろんな意味で価値ある使い道に思えた。安心の上に信頼が成り立つ。彼の仕事のやり方は、”不況で厳しい世の中”を言い訳にしてはいけないと教えてくれた。
博士が帰った後、迫力、スリル満点の映画を観終わった感覚が残った。テロップをぼぉ〜っと眺めながら、肩の力が抜け、終わったんだ・・という余韻に包まれた。
彼をカッコいいなと思った。
フツーのシワシワのおっちゃんだった。
だが、20年前のトシちゃんの様な髪型も、
色白でひ弱ないでたちも、”尊敬”は全てを超えるのだ。
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2005年08月26日 |
台風が去って、昼からはまぶしい夏の陽射しが射している。
塵もなくなり、昨日まで機材の不調に引きずられていたモヤモヤもなくなり、今日は気分が一段とスッキリしているのだ。
この夏、結構一途に頑張ったよな〜と思う水面下で撃沈した仕事のことも、もうガッカリから立ち直った。
ベッドの掛け布団カバーも敷き布団カバーも
洗いたてのに交換して。
何でもない日だが、気分がいい。
やるぞ〜、エイエイオー。
ハッ・・・・。
何かの気配がした。
「ゴキブリ!」
デカいゴキブリが炊飯器の所にいるのを
見つけたのだった。
触覚をヒラヒラ動かしながら
至近距離にいる。
<ご機嫌、よさそうですね>
むむむ・・・招かざる客。
なんでお前がここに居るのか。
しかも何故、こんな昼っぱらから。
私の「うぎゃー!」という叫び声は、イタチには届かず、そして犬には恐ろしいらしい。またもや助けてとすがってもイタチは熟睡中、犬はベッドの下に身を隠してしまった。
外はピーカン。
中はどんよりと暗黒が立ちこめて。
<これから先、どうしよう・・・>
ゴキブリ一匹で、全てのヤル気が沈んでいった。
ゴキブリ一匹が、急に未来を暗くする。
あ〜る〜晴れた、昼下がり・・・。
ドナドナでは子牛が市場に売られてゆき、
私の「さぁ、ヤルぞ〜!」は、いとも簡単に消えたのであった。
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2005年09月04日 |
昨日、庭でバーベキューをした。この間近所の人がやっているのを見て羨ましかったので、自分もいつかやってみたかったのだ。
私の仕事は虫対策係。
いつもみたいに食材の準備やテーブル周りを整えたりするのを、横でボ〜っと見ているだけじゃなく、自分も何か用意をする中に一緒に入っていたい。それもバーベキューの楽しみの一つなのだ。
普段の虫嫌いがお役に立てる時がきた。
虫のことならこの私めにお任せ下さい。
みんなを私が虫からお守りします。
「はい、腕を出してくださーい」
シューっ。はい、裏側も。
シューっ。
あ、やっぱりもうちょっと。
シュ、シュ、シュ〜〜〜〜。
「はい、これでいいです〜」
ちょっぴり、予防接種の注射に来た
お医者さんになった様でもある。
これで蚊なんか怖くない。
更にアイテムはあるんですよ。
別に要らないと言われたが、私としては万全の対策を。テーブルの下にアースノーマットを配置した。
ヤッホー。
美味しいよね〜。
ほっこりするよね〜。
家ん中で食べるのとは全然違うのだ。
壁を隔てて3メートル、食べる場所を移動しただけで、どこかの山荘に来た気分になる。
こんなに手軽に楽しめるなら、もっと前にやればよかった。これからは庭で夕食をする日をちょくちょくもうけよう。
なんか、なんか、なんだかいい感じ。
部屋の中から小音量で音楽を流して、
イタチと犬も途中からメンバーに加わった。
すっかりくつろいで、私も最後にチョコレートアイスを食べようとした時だった。
カサカサっと何かが肌を触っていく感触を感じた。
私の左ひじに、でっかい茶バネゴキブリが止まっていたのだ。
カサカサカサ・・・。
目の前でデカゴキブリが自分の生身のひじの上を歩いて這っていた。
ウギャー。ウギャギャギャー。
ポトっとゴキブリは左太腿に落ちてそのままどこかに逃げていった。
楽しいバーベキューは終わった。洗っても服を着替えても、太腿とひじにはゴキブリの重さの記憶が消えず、ショックでうなだれた。
ショック。
大ショック。
虫よけスプレーはゴキブリには効かなかった。
アースノーマットもゴキブリには効かなかった。
でも
みんなに虫はつかなかった。
任務は遂行した。
虫対策係、精一杯頑張った。
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2007年07月16日 |
夜、家に帰って来たら、玄関を入った所に黒い碁石風の物が落ちていた。
黒い楕円形の碁石。
私との距離、約1、5m。
2時間程前に家を出た時には、こんなものはありませんでしたよね。
はい、ありませんでした。
何故、楕円形。
もしくはイタチの糞ですか。
ヒトは本当に驚いた時には、「ギャー」といった声は出ないのである。
無言で玄関を上がり、奥のキッチンに置いていたゴキジェットをむんずと掴み、そして再び玄関に戻ってきて私は碁石にシューと噴射をしたのであった。
カサカサカサ・・・。
碁石はゴキジェットをかけられることで、変身の術を解かれゴキブリとなって動き出した。
ゴキ、ゴキ、ゴキ。ブリ。
血圧が上がるのがわかる。
ゴキ、ゴキ、ゴキ。ブリ。
ゴキジェットを消火器ぐらいの勢いでシューする。「ギャー」は最後まで出ず、ゴルゴ13かと思うぐらい私は無口で冷静だったと思う。
「来ないでってあれほどお願いしたのに・・・」
ゴキであっても、殺すのは後味が悪い。
でも、死んでもらう。
靴箱の奥に一旦引っ込んで、またこっちに向かって「ご主人さまー」とやってきた時は、機関銃を打っているぐらいの気分でシューを噴射したのだ。
こんなに煙が立って人体に影響は出ないのか。
超ビッグサイズ黒ゴキブリ。
この家には、いつでもあの大きさの物が入って来れるのだということを知った。
ちゃんと鍵をしたのに・・。
窓だってピチっと閉めていたのに。
それが何の役に立つ。
毎日、部屋中の戸締まりをすることに何の意味があるのかと、今大変なげやりな気分になっているのである。
Posted by: 吉川みき 2007年07月16日 | パーマリンク | コメント (2) | トラックバック (0)
2007年07月17日 |
昨夜ゴキブリを見つけてから、夜に玄関の方に行くのがすっかり怖くなってしまった。
たった一匹、あんなゲンゴロウみたいなものを見ただけで、こうも生活が変わってしまうものなのだろうか。
うーむ。
私は、祖母の「お財布に入っているだけお金を使ってしまう」というDNAは受け継いだが、「ゴキブリを素手で捕まえて捨てる」方のDNAは受け継がなかった。DNAあみだくじではそう進んだようなのだ。
今日はトイレに行くにも、物音を最初に立て、それから電気をつけて、その後ちょっと時間をおいてからドアを開けている。以前にも増して”今から人間がそこに行きますよ。””もしそこに居たら、何事もなかったかのようにそこから居なくなって下さい。”と、入念にお願いをしているのだ。
昨日は、ゴキを見つけたとこに加え、それを殺したことについても後味が悪かった。だが、見たら見逃すわけにはいかない。私の場合、100%殺しにかかる。
一方、ゴキブリのことはそんなに気にならないという人も居る。カサカサ・・・とやっていても、「あら、いやだ。ゴキブリだわ」程度で、不快には思うがわざわざ息の根を止めてやろうと立ち上がったりしない人も居るのだ。
ゴキブリを「浮気発見」に例えてみる。
私は事前に細かい証拠を集めたりはしないだろうが、それでも自分が知るところとなったら、毒をいっぱい吐いて攻撃をしそうである。
「男の甲斐性だから」
と、いう考えはちっともない。
だが、ゴキブリに寛容な女性は、浮気に対しても寛容なのではないか。
「君は、ゴキブリを見つけたらどうする?」
その答えが「浮気が見つかった時」の答えに相当する。
おぉ。
ゴキブリを使った心理テストが一つ出来たのだ。
Posted by: 吉川みき 2007年07月17日 | パーマリンク | コメント (0) | トラックバック (0)
2007年07月21日 |
今日はゴキブリ対策で、追加のゴキブリダンゴを買ってきた。多分ここに潜んでいるのではないかと思われる箇所が家の敷地北側にあって、二種類のコンバットを設置したが、ゴキブリさん達には食べてもらっていないと判断をしたのだった。
ゴキブリは結構なグルメだとネットで調べたら書いてあった。
悲しいかな、私はドラッグストアに行って、美味しそうなゴキダンゴを探すこととなったのであった。
<これがいいかなぁ>
<こっちの方がいいのかしら>
と、吟味する。
なんでゴキブリのお口に合いそうなものを、度々私は買いに出ているんだろう。しかし、3度目の正直を狙おう。今度こそこのゴキダンゴで彼等にはここから居なくなって頂かなくては。
買ってきたゴキダンゴの封を開けた。
プーーン。
こ、これはかなり強力な匂いがするダンゴ。
効きそう・・・。
箱にはこのダンゴが「ゴキブリをグングン吸い寄せる!」と書いてあるが、この匂いは確かに匂いが遠くまで行きそう、部屋の中は既にゴキダンゴの香りでいっぱいになっていたのだった。
取り合えず、北側のジメっとした家の外に8個設置。残りの8個の置き場所が決まらずに、明日また置こうと一旦終わりにした。
夜。
プーーーン。
強力なゴキダンゴの匂いが部屋にしていた。
「ゴキブリをグングン寄せつける!」のは、今日設置した場所ではなく、この部屋にはならないのだろうか。これは私の部屋でゴキブリを呼んでいるということにはならないのでしょうか。
プーーーン。
結果私は今日8個分の強力ゴキダンゴを自分の部屋に設置してしまったということになった。
<ここには来ないで・・・。>
ゴキブリの大好きなタマネギ入りなのだそうだ。
<寄せつけなくていい・・・>
買って早々、早速意に反してゴキブリがこのダンゴに吸い寄せられないようにと願う夜なのであった。
Posted by: 吉川みき 2007年07月21日 | パーマリンク | コメント (0) | トラックバック (0)
2007年08月11日 |
玄関でゴキブリを発見してから、夜がすっかり怖くなったのだ。
多分一番の侵入口は玄関。家の玄関のドアは開閉式ではなくスライド式になっていて、鍵を閉めても二枚のドアの重なる部分に薄い隙間がある。ゴキブリサイズの生き物であれば難無く入れる余裕の隙間で、悲しいかなもう既にこの夏になって3匹の大きいゴキブリをこの扉周辺で発見しているのだった。
夜になると私は玄関エリア、そこから近い洗面所と風呂場には行かなくなった。
次いで廊下とトイレゾーン。玄関から入って来てまっすぐ進めばそこに来るので、ここにも夜はあまり行かない。自分の家なのにトイレをなるべく我慢する生活を送っているのだ。それでも、トイレゾーンに行かざるを得なくなった時の願いはただ一つ。
<ゴキブリが居ませんように。>
まるで可愛いらしい少女のように、夜の私は”とっても恐がったり””本気でお願いをしたり””頑張って我慢をしたり””ブルブルと震えていたり”していたのだ。
なのに。
深夜、キッチンのドア付近にて。
本日、碁石発見。
多分この碁石はやはりいつもの侵入経路からやってきて、ドアをまたクリアしてキッチンの方にまで来たと思われた。
・・・・。
なんでなの。
こんなに恐がっているのに。
どうして。
キッチンにまで来るだなんて!
・・・・・。
<カチッ>
小さな胸を震わせ怯えていた少女、おわり。
恐怖への許容量が越えるとそれまでの恐怖心が一切なくなり、自分の中でスイッチが入ったと思ったと同時に、怒りと憎しみモードに転換したのであった。
ゴキジェットを掴み、能面にて噴射。
シューーーーー。
シューーーーーーーーーー。
シューーーーーーーーーーーーーーーーー。
ダンボが私の殺気に危険を感じたのか、ベッドの下に逃げていった。ダンボと目が合ったが恐怖に怯えたように、私を見ていた。
<ダンボちゃん、今はあなたに怒っているんじゃぁないの>
<今、忙しいからあとでね>
その後、氷殺ジェットで、能面にて噴射。
シューーーーー。
シューーーーーーーーーー。
シューーーーーーーーーーーーーーーーー。
集中している時、声は何も出ないのである。
その後、ホウキを持ってきて玄関に向かって掃いた。半死にゴキブリは時速200キロで玄関のドアめがけてピューーンと飛んで行ったのだった。
<だから・・・来ないでよね>
部屋に戻るとダンボは震えていた。おいでよといくら優しい声で呼んでもベッドの下から出て来なかった。
私は怒った時、ものすご〜く怖いと言われる。自分でも少しはそうかなと思っていたが・・・・。
今日は自覚があった。
ゴキブリが怖かった。
でも私の方がもっと怖い。
そうだわ。
なんでこんな簡単なことに気づかなかったのかしら。
ダンボはしばらくするとベッドの下から出て来て、いつも怒られた時に許してもらう「ごめんなさい」のポーズを震えながら私にしたのだった。
今日の対決を以って、ゴキブリが”怖い存在”ではなくなったのであった。
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2008年06月05日 |
午後、出掛ける前にシャワーを浴びていたら、髪を洗い終わった時にふと視界に黒い物が入ってきた。
こんな所に・・・。
碁石のようで碁石でない。
アー、ユー、ゲンゴロウ?
足下でシャワーの湯から逃れようとして急いでいたのは、中サイズのゴキブリだった。
<ギャーーーッ>
心の中では絶叫しながら、今までと同じように無言で思い切りシャワーの湯で攻撃をしてゴキブリを排水口まで流した。楕円形の中ゴキは排水口に消えて行ったが、その上からシャンプーやらコンディショナーやらを更に撒いて、風呂から上がるとゴキジェットを噴射したのだった。
引っ越してきた年は一匹も出なかったのに・・・。
0と1とでは大きな差があるんだという話は聞くが、ゴキブリを例に挙げると一番私にはしっくりくる。1匹居たらその日を境に自宅は恐怖の館になるのだ。そうしてこの日から借り主が「犬と私」から「犬とゴキブリ一族と私」という図になる。
トイレに行くにも、洗面所に入るにも「今から入りますよ」とかなりアピールをして生活をせねばならず、本当に共同生活の難しさを感じる。
あの中ゴキは、一体どこからやってきていたのか。
いつも聞き出せないまま退治してしまうので、今日も不気味に理由がわからないまま、彼等が「居ますよ」ということだけを知らされた形となった。
カナブンじゃなかったですよね。
やっぱりゴキブリですよね。
今年もたった一匹を発見することにより、非常に暗い気分になった。我が家のゴキブリ前線は例年より1ヶ月程早く訪れ、それに伴い私の体は”さぶいぼ現象”に見舞われるのであった。
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2008年06月06日 |
昨日、風呂場で青年のゴキブリを見つけたことで、今日は昼間でも浴室と洗面所エリアが怖くなって、早くも家の中でリラックス出来なくなってしまった。
思ったより今年は出現が早かったのと、思ったより明るい時間帯に出現したこと、玄関に隙間があるので侵入口はそこだと思っていたが、必ずしもそうではない様子であった。
どうしよう、この先。
去年は最初玄関で見つけてから、度々大人黒ゴキブリが家にやって来るようになり、夜はビクビクしながら過ごしていたのだ。だが去年はゴキブリが居なくなる前に、私が具合いが悪くなって入院をすることとなった。なのでゴキブリ側は「アイツをやっつけた」と勘違いしているんじゃないかと思うのだ。
そうして「また今年も追い出せる」と強気になっているに違いない。
今年は玄関の隙間からだろう、春先にミミズまで入って来ていた。なんでミミズが・・・。スライド式のドアとドアの丁度重なっている所が隙間を作っていて、我が家の玄関エリアはミニ生物達の憩いの場になっているのだった。
なんとかせねば。
そう思いながら仕事場のドアを開けると、
「あ!」
お前は、チビゴキブリ。
チビゴキブリがトコトコと歩いているではないか。
<ドン!>
怒りと悲しみと恐怖で即踏みつぶした。
どんより・・・。
1匹見つけると100匹居ると聞いたことがあるが、私の経験上1匹見つけると毎日見るようになり、昨日の今日で全く手順を踏んでいる状況となってしまった。
チビゴキさんは今年、この家のどこかで生まれた。
そして彼等は自分の家だと思っている。
気持ちはわからないではないが・・・・。
ヤモリが居た年、玄関にひっついているのがたいそう気持ち悪かったが、そう言えばゴキブリは出なかった。ヤモリは「家を守る」というのは本当だとヤモリを恋しく思い出したのであった。
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2008年06月07日 |
夜、外から帰って来てバイクをいつもの場所に置こうとしたら、黒い大きな大人ゴキブリが歩いていた。
<ぎゃー>
ゴキブリは慌てて去って行ったが、方角は家の壁に向かってであった。
そっちに行かないで。
一気に憂鬱になる。
ロールプレイングゲームのステージ1か何かの最後に出て来るようなでっかい親玉が登場したか位の貫禄だった。
で、ステージ2とか、だんだん難しくなっていくんでしょう?
・・・・・。
私も今から家ん中に入るんですけど。
「一匹見つけたら毎日見る」の法則に沿っている。
今日は3日連続でとうとう大人のゴキブリを見た。
明日は何が起こるの。
このあと、どういう展開になるの。
私には全く筋書きが見えない。
怯える私のそばで、ダンボがニヤリと笑う。
もしかして、お前が黒幕なのか。
誰が一体。
何の為に。
もう誰も信じられない。
信じてはいけない。
平穏だった我が家が陰謀の館へと変わって見えてきたのであった。
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2008年06月10日 |
午後、ゴキブリ駆除の業者さんに来てもらった。
見積もりの相談の際に、隙間はなるべく塞ぐようにと言われたので、昨日は玄関のスライドドアの隙間をクッションシートで塞いで、今日に備えていたのだ。
前に住んでいた家での効果は絶大だった。保証期間内にまたゴキブリが出れば何度でも来てもらえるというのが、こういう業者さんに頼んだ時の安心な点で、「出なくなることを保証してもらえる」のが何より心強い。
今日も作業に入る前に駆除業者のお兄さんから説明があったが、「ゴキブリはゼロになります」とはっきり「ゼロ」という言葉が出て来る。今の世の中、何かを尋ねても明言を避けてあいまいにされることが多い中、はっきり「ゴキブリを退治しますよ」と言ってもらえるのは大きいのだ。「ゴキブリ退治に全力を挙げます」という言葉と「ゴキブリを退治します」という言葉では、私の後々の夜の恐怖度数が違って来るのである。
作業中は人もペットも、部屋で普段通り過ごせる。
食器を片付けたり、後で拭き掃除をする必要もない。
先が1メートル程ある細長い管がついた水鉄砲のようなグッズでペースト状の薬剤を業者さんが部屋の隅々に塗って行く。
プチュ。
プチューっ。
イメージとしてはこんな音がしている。薬剤は引金のような所を引くと水鉄砲の先から出るしくみになっているのだ。
部屋でくつろいでいてもよかったが、結局「プチュ」を全部付いて見て回った。
作業時間は1時間足らず。
何か大きな音を立てるでもなく静かに終わった。
「これでまもなくゴキブリは居なくなりますよ」
薬剤は卵にだけは効かないので、タイムラグがあるそうなのだが、大きいゴキブリは今日から見ないで済むと思っただけで、たいそう明るい気持ちになったのだ。
人間とペットにがほぼ害がないらしいが、無臭で遠目で見る感じはピーナッツクリームに似ていた。
ゴキブリさん、さようなら。
網戸にしたらスィーっと気持ちのいい風が部屋を通り抜けて行った。
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