雛祭りの日、女の子のいる家で何がなされたのかを私は知らない。その日は誕生日だったからだ。雛壇付きの誕生日会というのが、私の雛祭りの記憶となっている。
家には立派な七段飾りのお雛様があった。毎年これを押し入れから出し、鉄骨みたいなもんを組み立て、お内裏様や三人官女達を並べた。笛や杯といった和風の小物達。牛車や男の人の被りもんもめずらしく、つい触りたくなるのだが、これらはちょっと触っただけで、すぐに折れたり壊れたりしてしまうので、物心がついた頃には、家の雛飾りは早くもセロテープで補修がいっぱい施されたおんぼろ雛となっていたのだった。
今はもう自ら雛人形は飾らない。お人形さんがちょっと怖いのだ。もし自分が人形なら、一年に一度しか出してもらえないなんてそりゃぁ最悪で、髪でも伸ばして驚かせてやろうとも思うだろう。
なので、今年は桃の花で祝うことにした。なんだか花の方が優雅な気もする。しかし、雛祭りには何をすればいいのか。チラシ寿司を食べる、ヒシ餅を食べる、雛あられを食べる・・・。結局飲み食いしか思いつかない。みんな何をしているのだ。しばらく座って考えていたが、何かした方がいいなと思い、何となく桃の花を触ったらポロンと花が落ちた。よりによって、桃の花は首からポロンと落ちる花なのであった。せめて巻き返しに、花の水でもかえようと花瓶を持ち上げると、今度は枝が壁に当たって更にたくさんの桃の花が落ちてしまった。
「きょ〜うは楽しいひなまつり、ひなまつり、ひなまつり、」レコードも傷つけ、針飛びをえらい叱られた。
多分今日は、何もせずジッとしていた方がいいのだ。触る物触る物、何故か壊れる日。そういう意味では、雛祭りに関して、もう私は一貫した過ごし方をしている。 |

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普段自分は、重たい物が持てないと思っている女性が、意外にも腕力があることに気づく日。良い面が出れば、かたいジャムの蓋などが簡単に開いたりする。 |
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